洗練された美の極致!大正ロマンのモダンな掛け時計を探しゲットしよう

大正ロマン期に作られたのに、決して色褪せない洗練されたモダンなデザインの掛け時計。
令和の現代も斬新な印象を放ちつつ、けれどどこを探しても見当たらない不思議な意匠の逸品です。

幸運にも筆者のてもとにありますので細部に至るまで事細かにご紹介してゆきます。
同時に、本記事をお読みになりこの時計を気に入られた方が、運が良ければ購入出来る橋掛かり的な情報も提供しちゃいますね。どうぞご一読ください。

今まで見たことがない!アートな時計

一見、十字架をアレンジしたようなフォルム。しかし、よくよくみると楕円形の振り子ガラスを包むように流麗なカーブを描いた翼が下に伸びています。いや翼というよりもむしろ、燕尾服のすそを連想させるかもしれません。

大正ロマン期に作られたこの時計の正式名称は、精工舎スリゲル12号。筆者の以前の記事で、精工舎スリゲルシリーズはご紹介しましたので、ご覧頂いた方もいらっしゃると思います。

でも筆者はあえてこの時計を別格として取り上げたかったのです。それほど流麗で気品溢れる貴婦人のような姿。モダンで洗練されたデザインは時代を超えて新鮮な印象を与えます。

流麗で気品あふれるフォルム

筆者は出会った瞬間、とっさに思いました。「この時計は場所を選ぶ時計だ!それほど気高く美しい!」

夢に描く理想の飾り方

筆者がこの掛け時計を見たときの第一印象は十字架のイメージでした。十字架におしゃれなアレンジを施した風に思えました。そうだ、ステンドグラスを張り巡らせた教会の礼拝堂に設置したら雰囲気出るだろうな。大正ロマンの優雅さに加え教会美術の厳粛さも感じます。

別の想像では間接光が差し込む落ち着いたヘアサロンで、お客が順番を待つ間のひととき話し相手の代わりにコットンカットンとセコンドを刻む優雅な光景が目に浮かびます。

銀座の中心にあるフルーツパーラーで、恋人同士が仲睦まじく語らう店内に、さりげなく佇む時計の姿は時代を超え洗練された存在感があり際立って見えるでしょう。

思わず想像力を掻き立てられる存在感抜群の時計ですが、一般家庭のお茶の間に飾るにはもったいない(飾ってももちろん映えますが)それなりの場所を選ぶ時計だなあと想いを巡らす筆者でありました。

出逢いの記憶

筆者がこの掛け時計スリゲル12号と出逢ったのは2年前の2017年春でした。筆者が暮らす静岡県内のとある室内骨董市の一件のお店で、精工舎の古掛け時計数点とともに展示され稼働していました。

そこに展示されていのたのは、すべて精工舎の掛け時計でしたが、このスリゲル12号だけが輝きを放っていました。いや、普段ならその他の展示時計もそれなりの魅力を周囲に放っているはずで、筆者もその魅力に気付く筈ですがスリゲル12号の放つ洗練された存在感に圧倒されて他は眼中にありませんでした。

店主に聞きました。「これは初めて見る時計だけど、どういったものですか?」
店主は言いました。「姿がセミに似てるでしょ。我々業者の間ではセミ時計なんて呼ばれてるよ。」
確かに一番下側のデザインだけ見ればセミに見てとることが出来なくもありませんが…。

続けて店主いわく「以前にね、古典時計協会の会長さん宅へ表敬訪問したことがあってね。その時の記念として会長さんからプレゼントされた時計さ。珍しい時計だよ。俺も実物はこの一台限りしか見たことない。話題にはあがるがみんな実際に見たことないんじゃないかな。ほかにも現存はするんだろうけどレアなんだろうな。モダンでしょ?買い得だよ。安くするよ。」

店主に言われるまでもなく、購入すると筆者は即決していました。価格は3万円のところ、値切り交渉の末2万円で頂きました。ご主人さん有難う御座いました。大正ロマンの逸品、大切にします!

見どころ

まず針のデザインに注目してください。

時計の世界では、長針短針のことを剣と呼びますが、まさに中世の剣をモチーフにしたかのような長針短針。長年古時計のコレクションを重ね、色んな意匠を見てきましたが、この針のデザインは他に類を見ません。しかも流麗で十字架のような時計本体の姿形に呼応して、教会に騎士がたたずむような抜群のバランスで配置されています。

中世の剣を思わせる独特のデザイン

大正ロマン期を生きた、日本人の洗練されたモダンなデザイン感覚には脱帽です。

特筆すべき次の見どころは扉。

よくある意匠の、オーソドックスな八角時計、四つ丸時計では、扉が文字盤側と振り子室側のツーピースでそれぞれ分かれていますが、精工舎スリゲルシリーズでは全て一枚ものの扉であり、文字盤ガラスと振り子室ガラスが一緒の扉に収まっています。

今回ご紹介しているスリゲル12号は、振り子室ガラスがオーバル(楕円形)ガラスであり、金泥でアーチにSEIKOSHAのロゴが入ります。文字盤ガラスのすぐ下に、扉には葉のリボンの絵が描かれていて、扉全体の細長い印象をモダンに引き締める効果があります。

金泥で描かれたリボンがフォルムを引き締める

そして何といっても、正面から見た全体像が流麗かつ洗練されていて上品。それでいて決して派手な印象にはならず、ボディーカラーは落ち着いた茶色のニスがトーンを低く抑えてくれて安っぽくならない。計算された大正ロマンの美のバランスがそこにはありました。

実際に探し出す手掛かり

精工舎スリゲル12号の名称でインターネット検索してみてください。
アンティークショップなら、分解掃除した状態のよいものが見つかる可能性があります。

インターネットオークションで検索し発見した場合はコンディションも問い合わせをして購入すべきかどうか判断しましょう。

蚤の市に頻繁に通える方は、画像を用意して店主に見せることが重要です。

これが欲しいんだとアピールすると、意外に見つけて取り置きしてくれたりしますからね。これほど洗練されたモダンな時計ですから、骨董商の記憶には残るはずです。大正ロマン期の時計はたくさん存在しますから、運が良ければズバリ、スリゲル12号に出会えるかもしれませんよ。

まとめ

大正ロマン期の精工舎スリゲル12号は、洗練されたモダンな時計です。

その流麗なフォルム、斬新な意匠は一般家庭のお茶の間に収まる時計とは違うと筆者は感じます。

教会の礼拝堂、都心のフルーツパーラー、洗練されたヘアーサロンなど人々が集う明るい雰囲気の場所に良く似合うのではないでしょうか。でも飾るべきところとそうでないところがおのずと決まってしまう時計であり、ひとことでいうならば場所を選ぶ時計ということでしょうか。そんな印象を受けるのです。

精工舎スリゲル12号は稀有な大正ロマンの時計であり、市場に出てくる数は少ないと感じます。その理由は前述の骨董商店主のレアであるという発言と、筆者自身がインターネット検索で一度きりしか見ることが出来なかった希少性から感じた印象です。

しかしスリゲル12号を手に入れることを諦めるのはまだ早い!日本人はものを大事にしますから、必ずほかにも保存している人はいると筆者は信じています。

現存数は少ないかもしれませんが、希少と断言するのはどうかと筆者は疑います。なぜなら、その他のスリゲルシリーズは一定の数がみつかっており12号だけが少ないというのは考えにくく、市場に出ないのは大事にしているオーナーが手放さないからではいでしょうか。

ですから必ず入手のチャンスは訪れます。焦らないで気長に探しましょう。

スリゲル12号を手に入れるきっかけとして、先ずインターネットで名称を入力し探してみてください。

有力なのはアンティークショップです。お店ならしっかりオーバーホールもしてくれていますのですぐに動かすことが出来ます。

ネットオークションも精工舎で検索すればスリゲルシリーズは案外多く出てきたりします。コンディションは良いとは断言出来ませんので、修理覚悟で良ければ発見後即ゲットしてみてください。

骨董市では、こまめに通える方、懇意な店主が知り合いにいる方は有利ですね。スリゲル12号の写真を見せたり、渡したりできれば良いと思います。是非、入手にチャレンジしてみて下さい。

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