異国情緒あふれるエキゾチックなフォルム!涙の雫という名の時計

2020年1月10日

日本のデザイナーでは発想しえない垢抜けた姿形の時計は、涙の雫というネーミングて知られたビンテージクロックでした。

この時計を初めて見るとき、芸術的完成度の高さから思わず異次元に引き込まれそうな感覚に陥ってしまったのは筆者だけなのでしょうか?いいえ、きっとこの記事をお読みになる貴方も読み進めるうちに、異国情緒をかもし出すエキゾチックな姿の「涙の雫」にくぎ付けになることでしょう。至福のひとときをごゆっくりご堪能下さい。

ネーミングの由来は左右のキボシにあった

文字盤の上部に大きく弧を描いた半円のアーチ。そのアーチの左右には下に垂れ下がったギボシが存在します。あたかも、この時計から連想する異国情緒豊かなストーリー性を強調するかのように。

涙の雫のキボシの下には、スワン(白鳥)に似た装飾が佇んでいます。チャイコフスキーのバレイ音楽「白鳥の湖」が聞こえてくるようではありませんか。

振り子室のガラスは、よくありがちな金泥ではなく白色で植物や鉢を描いているあたりはデザイナーのセンスが存分に活かされており、全体のコントラストをぐっと引き上げ、見る者をエキゾチックな世界に誘います。

涙の雫の正体は?

このエキゾチックな「涙の雫」、作られたのは19世紀後半の1880~1890年代であり、画像の時計はアメリカで有名なアンソニア社製。他のアメリカ時計メーカーでも同様のものは作られたようですが、圧倒的に有名なのはアンソニアのものらしいです。

別名としてよく聞くのは「ハバナタイプ」。なぜ、ハバナなのかは分かりません。でもハバナの響きは何となくエキゾチックで筆者は好きです。他にも「パリジャン」とか呼び名はあるようですが、この形からフランスのパリを連想するでしょうか?筆者は少々無理がはあると感じてしまいます。もっと奥が深い異国情緒のあるキューバのハバナだったら納得しちゃいますね。

涙の雫は同じ姿形の置時計も存在します。アメリカではキッチンクロックとして置時計の方が普及していたらしいです。

でも現代の価値では、掛け時計の方が置時計よりも人気が高く値段も倍ほど違うようです(2015年に筆者がイーベイオークションを検索したときは、掛け時計型が4万円くらいでスタート価格でしたから落札価格は6万円前後でしょう。置時計型は半分の3万円程度で落札できたと思います。)

アンソニア社について

涙の雫を製作したアンソニア社は、アメリカに存在した老舗の時計メーカーです。

マニアの間では、ドイツのユンハンスかアメリカのアンソニアかというくらい、人気のあるメーカーです。なぜ人気なのかと申しますと、どちらも魅力ある商品が多数存在するからだと思います。

魅力といっても異国情緒あふれるエキゾチックな姿形だけでなく、中味の機械が精密で美しいことが挙げられます。古い時計は大きな歯車がノコノコと動くところに魅了される人が多いようで、筆者もその一人です。

アンソニア社の創業は1854年と古く、独自の技術を編み出しアンソニア式と呼ばれる機械で人気を博しました。しかし、30年後に火災にあうアクシデントがあり、とうとう1929年には会社を閉鎖、ロシアに工場を売却しました。しかし75年の長きにわたり、世界中で愛されてきたこのメーカーに筆者は惜しみなく賛辞を贈りたいと思うのでありました。

そっくりさんも存在した

日本人はコピーが上手。手先が器用なので、海外のコピー品とはクオリティーが違います。

明治時代の「涙の雫」、エキゾチックな姿も形もそっくりそのままに名古屋のメーカーが真似しています。でも、あまりに精巧な作りなので笑えない、むしろ異国情緒を醸し出すところまで同じな驚嘆の出来栄えです。

それほどオリジナルのアンソニア社製は希少であり、日本国内で普及を狙った名古屋のメーカーが必死で量産したものではないかと筆者は推察します。

名古屋の尾張時計社製。アンソニアと見分けがつかない。
出典: http://www.kodokei.com/c2_071_4.html

筆者の体験談

筆者はおよそ3年前、地元の蚤の市で名古屋製「涙の雫」を発見しました。エキゾチックな雰囲気をまき散らしており思わず足を止めて見入りました。しかし残念なことに、前述の白鳥の装飾が割れてしまっていたのです。しかも価格は3万円。もちろん掛け時計型のものでした。

破損していることに加え、値段もそれほど安くない。購入を躊躇し、ほかのお店を冷やかしたあと再び戻ってみると既に誰かが買って帰ってしまったあとでした。涙の雫の希少性と人気を垣間見た思いがしましたが、その後3年経過した今も再び涙の雫と遭遇することは出来ません。

異国情緒溢れる姿を思い出し、口惜しさと未練が残りましたが、アンティークは一期一会が基本。読者の皆さんも時計に限らず、アンティークを買わずに後悔することがないようを祈るばかりです。

まとめ

異国情緒あふれるエキゾチックな時計「涙の雫」は19世紀後半のアメリカはアンソニア社製のビンテージクロックで別名ハバナタイプ、もしくはパリジャンと呼ばれて人気があります。

アメリカでは、掛け時計よりキッチンクロックという置時計が広く普及したため、現存する涙の雫は置時計が比較的数が残っていて価格も掛け時計の半額程度でゲット出来ます。

アンソニア社はアメリカの老舗メーカーで75年間操業するなか、独自の機械を開発し人気を博しました。涙の雫は日本の名古屋でも精巧にコピーされ国内に普及したようですが、こんにち遭遇する機会はほとんどなく、現存する物は貴重品に違いないと筆者は確信します。ゆえにどこかで遭遇した場合、即決でお買いになられることをお勧めし、本記事の結びと致します。