英国風の顔を持つ型破りで大迫力のカンカン時計!通称の由来は頭のゴングにあった。

読者の皆さん、良いページをご覧になりましたね。カンカン時計は面白い時計ですよ。一般家庭では見かけないレア品です。

どんな用途でこれほどユニークなものが生まれたか、そしてどんな活躍をしてきたのか、英国風の風貌を持ち、美しくもあり不細工でもある不思議な外観とともに大迫力の鐘の音を機会があれば楽しんで頂きたく、カンカン時計のすべてをご説明いたしますのでご覧ください。

一見不細工、でもよく見るとなかなか綺麗

筆者が所有するカンカン時計に出会った時の印象は、とにかく大きな文字盤。時計の殆どを占めるといって差し支えないほどでっかい文字盤が印象的でした。

巨大な文字盤に圧倒された筆者であった

場所は通い慣れた地元の蚤の市。枯れ葉舞う秋晴れの神社の参道で、店先に堂々と飾られていました。インパクトのある大迫力の外観に思わず足を止めていました。

カンカン時計の頭上に目をやると、配置された大迫力のゴングに圧倒されました。しかし細部に目をやると、ボディーのあちらこちらに細かな彫刻を施し、どこか英国風な美しさに気付きました。

文字盤が帽子を被ったような巨大なゴング

カンカン時計、その正体とは?

その用途

蚤の市の店主いわく「カンカン時計はその昔、タイムレコーダーなんか無かった時代に、工場勤務のチャイム代わりを務めていた時計だよ。」なるほど、遠くからみても時間が分かるように大きな文字盤と、構内に響き渡る大迫力のゴングが必要だったのですね。納得です。手作業が多かった時代の手彫り彫刻は職場の象徴として見られることを意識していたのでしょう。どこから見ても立派な英国風の装飾が美しい時計です。

細部に至る装飾や彫刻が美しい

カンカン時計のネーミングの由来

それじゃ、なぜカンカン時計なの?尋ねると店主は無言で時報を聞かせてくれました。カーン、カーンと大迫力で響き渡るゴング。振り子時計の渦リン(渦状の蚊取り線香のような鉄製の音響源)のような優しい音ではなく元気で明るい声、時間を周知させるにはうってつけの音でした。しかも英国風の外観と妙にマッチする音色でもありました。

奥行きは短めだが、全体のイメージはどっしりしている

時代背景

筆者の持つ文献等からの調査では、 写真資料に同じ基本形を持つカンカン時計の時代解説があり、これによって 大正末期から昭和初期であると判断します。まだ戦争の足音が聞こえる前の、ほんのひとときのどかな時代の産物であることが、丁寧で時間をかけた彫刻のおおらかな作行から推察できます。

カンカン時計の総合的な出来栄えはおおらかな美しさがあり、どこか英国風な異国情緒を感じさせる雰囲気があります。大正ロマンそのものの雰囲気といって良いでしょうね。圧倒的な大迫力の容姿と鐘の音は、皆が共有する職場の象徴として愛されてきたことでしょう。

筆者が想像する大正末期の様子です。カーン、カーンと12回響き渡るとお昼の時間。「先輩、今日も手作り弁当ですか?いいな新婚さんは。」「お前も早くお見合いをすることだな。」当時は見合い結婚が当たり前。でもみんな幸せに家庭を築きました。

汗水たらして働き、休み時間や帰宅時の安らぎの時間、日曜日がとても貴重でした。でも今よりずっとのどかであり、素朴な幸せで満ち溢れていた。そんなのどかな時代ののどかな会話と、当時を懐かしむ追憶の声が聞こえてきそうです。

まとめ

カンカン時計の一見変わった外観も、家庭用ではなく工場用としての機能美でした。しかもそれは企業のタイムキーパーとしての役割に留まらず、英国風の異国情緒漂う時計でした。カンカン時計の名の由来は、大迫力の鐘の音そのものでありました。

時代背景は大正ロマンそのもので、おおらか且つ平和な時代。英国風の雰囲気をかもし出すかもカンカン時計は大迫力の風貌をもつ反面、繊細な彫刻を施した逸品で、公共の場所で愛されてきました。様々な人間ドラマを観察してきたことでしょう。

最後に補足として一点付け加えさせてください。筆者所有のカンカン時計のメーカーは鶴巻時計 英工舎、東京都の会社でした。ほかにも同じようなカンカン時計を作った会社はあるようです。市場に出る頻度は少ないですが、フリマや骨董市で出品される可能性はありますのでチェックしてみてください。

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