カレンダー付クロックに意味深な文字が!20世紀初頭にカナダで活躍したスクール時計の物語

100年以上前に作られたカレンダー機構付きの大きな時計を手に入れました。

すると、文字盤の中に何やら興味をそそる文面があるではありませんか。それらを紐解いて行くと、そこにはカナダでの壮大なロマンの舞台が浮き上がって来たのです。この時計に隠された20世紀初頭の物語を一緒に紐解いて行きましょう。

横一列に書かれた表記とは?

筆者が購入したカレンダー付クロックの、文字盤に記載された英文は多変興味深い内容でした。

その全文は、「THE WESTEAN SCHOOL SUPPLY CO. REGINA SASK」とあります。直訳しますと、西部地区学校供給カンパニーとなり、学校用物資を売買、運搬していた会社が提供した時計ではないかと想像出来ます。

時計の文字盤上側に記載された文字。こうした類例は決して多くはない。

この時計自体は、学校用の物資としてではなく、おそらくこの供給会社が宣伝を兼ねて学校に寄付したものではないかと想像します。なぜなら、文字盤に会社の商標を入れる行為は売り物にはあり得ないと判断するからです。

文字盤の外周を日付の数字がを取り囲む。銀杏葉の日付針が美しい。

では後半のREGINA  SASKとは何なのか、当初は意味不明でしたがなんと地名だったのです。SASKとはサスカチュワン州、カナダの中央に位置し、州の南側はアメリカ合衆国に接しています。REGINAは、サスカチュワン州の首都リジャイナであり、カナダに入植した白人文化の拠点でありました。ここから20世紀初頭のカナダの物語がおぼろげに見えてきました。

サスカチュワンの歴史と当時の出来事

サスカチュワンの20世紀初頭は、州として位置づけが始まったばかりの頃でした。

もともとは先住民族の住む土地であり、この頃、最後のネイティヴアメリカン(先住民)迫害の事件が発生した時代でもありました。決して平和で安全が保障された世の中ではなかったと思われます。

リジャイナは土地的には北部が針葉樹林、中部より南にかけては大穀倉地帯が拓け豊穣な農産物に恵まれていますが反面、寒暖の差が激しく夏は最高40℃を超え冬は-20℃という過酷で厳しい気候です。更に、竜巻被害が多くカナダ国内では最多の発生頻度とのことです。

20世紀初頭、学校教育の舞台もこうした厳しい気候の影響もさることながら、カナダ全土での治安の未熟さもあり都市化への過渡期として乗り越えるべき様々な試練が与えられた時代であることが、この一つの時計を介して気付かされる歴史の物語でありました。

時計が作られた時代とメーカーのお話

このカレンダークロックを調査して判明したことは、製造メーカーがアメリカ ニューヘヴン社の時計であること、モデル名まで存在し「ブランフォート」という名前であることが分りました。そしてモデル名より製造年代が明らかになり、20世紀初頭(1900年頃)ということが分りました。

この「ブランフォート」は八角時計で、下側左右に張り出し装飾の板が付属します。そしてそのボディー全てに彫刻がなされているため、とても華やかに感じます。通常の「ブランフォート」はカレンダー機構はなく、普通の12時間文字盤なのですが、筆者の所有品は1~31日のカレンダーが文字盤外周に記載され、その日付を指す針は赤く、針の尾には銀杏の葉が形取られていて、これがなんともカナダっぽい風合いを醸し出しています。

カレンダー針は銀杏葉を形取りカナダで使われるのにはピッタリの意匠。

ニューヘヴン社は、アメリカンクロックメーカーとしては2番目に古い歴史を持ち様々な外国に輸出していました。隣国のカナダへは相当量のクロックが売られたものと想像します。その中でも、今回ご紹介したカレンダークロックは物語を連想させるに足る貴重な文言の入るレアピースと言えるでしょう。

振り子室の振り子の意匠も独特であり風格がある。

筆者がカレンダークロックを購入した方法とは

筆者所有のカレンダークロックは、筆者の他の記事でも紹介していますが、イーベイオークションの日本語サポートサイト「セカイモン」を利用して入手しました。

「セカイモン」の取り扱い国はアメリカ(カナダ関連もある)をはじめ、現在はエリアを拡張していて、イギリスやドイツのものも扱っているので楽しみや可能性が拡がりますからアンティークを欲しい方には絶対おすすめします。ワールドワイドな選択肢なので、20世紀初頭に限らずもっと古い時代の物語を有するタイムピースを発見できるかも知れませんよ。

まとめ

筆者が入手したカレンダークロックには歴史を紐解く文字が記載され、カナダのリジャイナ州サスカチュワンで20世紀初頭(120年前)に使われたものと分かりました。

激動の時代に使われたこの時計は、学校に設置された生徒たちの記憶に残る象徴的存在だったと推察し様々な物語を想像させてくれます。

製造メーカーはアメリカ ニューヘヴン社。モデル名は「ブランフォート」。カレンダー機構をもち、全身の彫刻、銀杏の葉の針などがいかにもカナダの風土にあった意匠で美しい時計です。

カレンダークロックに限らず、アンティーク全般において広く海外から入手するには「セカイモン」を利用するのが便利で安全だと筆者は思いお勧めします。

Share

  • Add this entry to Hatena Bookmark

Follow Me