初日の出のようなおめでたい時計!変わり塗りボディーの異色な舘本時計はとても面白い。

2019年12月29日

新春からいいことがありますように。そんな願いから、皆さんは初詣に出かけてダルマさんや縁起物をお買いになることも多いと思います。

今回は時計のデザインがお正月向けで縁起のいい初日の出を模したような時計を紹介しながら、同時にこの時計を作った舘本(タチモト)時計の特徴や、その他のラインナップとしてどんなものがあるのか、変わり塗りの特徴や、現存するものは入手可能かなど筆者が分かる範囲で情報をご提供してまいりますのでお付き合いくださいね。

初日の出時計の全貌

荒波から現れた初日の出を彷彿とさせるディテール。見る者の瞬間的インパクトは「おお、めでたい!」となること請け合いです。開運を連想させ、思わず笑みがこぼれます。

筆者の家ではお正月に居間で飾るめでたい初日の出時計

初日の出時計の細部に目をやると、荒波の細工は彫刻というよりもはや造形というべきであり、立体的で迫力があります。

荒波の彫りはもはや造形美の世界

その荒波の中央部分には、掛け時計に必要な機能である振り子室が存在しますが、初日の出を描く雰囲気を損なわないように控えめな大きさとデザイン(横長丸)で配置されています。

時計全体の色調に目をやりますと、明治大正期の時計に殆ど用いられる木目を生かしたボディーとは違い、ペイントを用いて斑紋を表現した変わり塗りのボディーではありませんか。

明治大正期の木目を生かした時計は高級感が演出される為、日本人の美意識が反映され高い人気があります。しかし、舘本(タチモト)時計はあえて木目を消す塗りを施してあります。

この初日の出時計のペイントは高級感こそありませんが、かといって下品な感じではなく面白さを演出しておりなかなか味わい深い出来栄えであると筆者は感じます。

販売元は舘本時計

作られた時代は昭和の初め。販売元の舘本(タチモト)時計は、当時愛知県名古屋市にあまたある時計卸メーカーのひとつに過ぎず、会社の規模的には話題として取り上げるほどではないと思います。

本体裏側のラベル。製造会社の特約店を介して販売されたようだ。

しかしながら、明治大正期に作られたヴィンテージクロックが終焉を迎える過渡期に登場した変わり塗りの舘本(タチモト)時計は、従来の時計の風貌を覆す異色の存在であり次々と変わり塗りの時計を世に送り出しました。初日の出時計はそのうちのひとつとして今回ご紹介するものです。

この舘本(タチモト)時計、製造自体は行っておらず恐らく企画と販売で成り立っていた会社であると推察します。理由は、筆者以外のマニアの方々による様々な舘本時計情報が、どれも一致して製造自体はしていないとしていることによります。

舘本時計の様々な意匠

舘本(タチモト)時計は、その全てが変わり塗りであります。ゆえに独特のインパクトがあり、時にそれはあたかもゴッホの油絵のようにまだら模様でサイケデリックな印象を与えます。

初日の出時計の変わり塗りの拡大図。まるでゴッホの油絵のようだ。

また、色んな形の時計を作り出しているのですが、それらが一貫して共通しているのは明確な和のデザインであることです。筆者は、今回ご紹介した初日の出時計以外に、竹を模した造形と塗りの時計を見たことがあります。それは既に、元の木目を失って完全に竹に似せたペイントを施した絵のような印象でした。

形のバリエーションとしては、波に千鳥、竹に雀、植物の柄など和柄が主体であることがマニアの方々による様々な舘本(タチモト)時計情報で明らかになっています。

実在する舘本時計を手にする方法

舘本(タチモト)時計は独特の存在のイメージが定着しているようで、ネットオークションでもたまに散見することがあります。お値段も明治大正期の時計と比較すると安価であり、手の届く価格帯であると筆者は感じます(ショップでは1万円程度。ネットオークションでは5~8千円程度)。

但し、純粋な国産品でややマイナーな知名度でもありますので、海外のイーベイオークションなどでは非常に少ない出品頻度の時計であると筆者は感じます。

舘本(タチモト)時計は 日本国内の蚤の市では良く見かけますので、案外そうした会場に足を伸ばされると簡単に手に入るのではと感じます。変わり塗りの派手な時計や、筆者所有と同じ初日の出時計も出てくる可能性がありますよ。

ちなみに、筆者は地元の蚤の市にて同行した妻が発見し気に入って購入しました。文字盤はオリジナルですが傷みが激しく格安の5,000円で譲って頂きました。2017年の春と記憶しております。

まとめ

初日の出を模した時計の正体は昭和初期、名古屋に存在した舘本(タチモト)時計と判明しました。

舘本(タチモト)時計の特徴は、木の木目の味をあえて無くし、その時計に合ったイメージの変わり塗りを施した異色の時計です。

舘本(タチモト)時計のインパクトは強く、好事家の賛否は分かれるところですが愛好者は案外多く、舘本の名前が有名になったのは、こうした愛好者の口伝えによる要因であると筆者は思います。

決して高級感はありませんが、見て触って楽しめるアート感覚な面白さがある時計です。

舘本(タチモト)時計を手に入れるには、海外オークションは避け出品頻度の多い国内オークションと蚤の市を利用されることをお勧めします。案外良いものが安価でゲット出来るかも知れませんよ。