アカデミー賞で日本人が歌うのは初めてだ。その快挙を成し遂げたのが我らの松たか子その人であった。
2020年2月、日本ではWOWOWプライムで字幕版が放送されたのだが、残念ながら衛星放送だけに全国区での評判には及ばなかった。しかし、世界的な視点から見ればすごい事だし民放ももっと力を入れてアピールすべき快挙だと痛切に感じる次第だ。
そんな歴史的大舞台に招かれる松たか子は、芸能界のサラブレッドだけあって立ち居振る舞いを心得ている。
居並ぶ華麗な歌姫たちの中、着物姿がひときわ目立つ松たか子がいた。果たして海外の反応やいかに?
国内で松たか子の衣装について賛否両論交わされる中、海外からのコメントは日本人のそれとは異なるものだった。そしていざ歌うシーンが到来した松たか子。その歌唱力に対して海外の評価はどうだったろうか?
なにしろ日本人として初めてのアカデミー賞での歌唱パフォーマンスだったから紹介する筆者も力が入るね。
それではその時の様子を出来るだけ事細かにお知らせしたい。
最後までごゆっくりご覧あれ。
レッドカーペットの艶姿
アカデミー賞授賞式となれば、出演者にとっては恰好の見せ場となる。
特に女性陣は、この日の為に選び抜いた衣装をまとい、レッドカーペット上を颯爽と歩くのだ。
「アナと雪の女王2」はワールドワイドな舞台だから、世界各国で上演されている。だから上演する国の中で選び抜かれたヒロイン(エルサ役)が高らかに熱唱するのだが、その中でもさらに選抜された実力者だけがアカデミー賞の壇上で歌声を披露できるのである。そうした本番の熱唱はさておき、一般人やマスコミに対するサービスのお披露目がレッドカーペットだ。
各国のエルサ役は、ここぞとばかりにドレスアップしてくる。首元を超え鎖骨まであらわに露出するその姿はセクシーそのものだ。見る者にとっては最大のサービスショットになるだろう。
居並ぶ各国のエルサたちは皆こぞって自身をアピールするが、皆考えることは同じで個性が弱い人は見過ごされてしまう可能性だってある。
そんな中、我らが松たか子は意表を突く着物姿で現れた。当然、露出の多い欧米スターと比べてセクシーさは感じられない。でも、それがかえって新鮮に映ることになる。
外国人には詳しい事は分からないだろう。着物の良しあしも無知なはずだ。しかし、超高級な生地の着物が醸し出す高貴なたたずまいは、外国人の単純な判断力の雰囲気や感覚でもぴんと来るものがあるようなのだ。
松たか子が当日着用した着物の生地は、疋田総絞りという手間暇がかかった高級品であり、見る人が見ればその恐るべき価値がわかるという代物らしい。帯は母親から譲り受けた「花菱七宝繋ぎ」という資産価値のある帯だとわかった。
当然、そんな価値が外国人にわかるはずもないが、着こなすスターが松たか子なら別だ。
代々歌舞伎役者の血筋を受け継ぐ松たか子は、幼い時から立ち居振る舞いの作法を仕込まれている。
その凛としたたたずまいは、高級な着物すら主人を引き立てる道具に過ぎないと感じさせるほどオーラが出ている。レッドカーペット女優をイロモノで見る輩はいざしらず、華の晴れ姿を期待する本物志向なら松たか子の着物パフォーマンスにくぎ付けだったに違いない。
即座にSNSでは、松たか子の着物姿に賛否両論の意見が交錯した。これはおそらく日本人同士のやり取りだろうが、「レッドカーペットにおいて着物は地味だった。」「何を言う。決して地味なんかじゃない!」喧々諤々のバトルになっちゃった。
とうとうまとめ意見的に「周りが派手なので色合いやシルエットが着物は落ち着いて見えるのだろう。」こう締めくくられそうになった。次の瞬間、反対意見で炎上したのである。
「地味に感じるかどうかは人それぞれじゃないか。」「着物は元々派手じゃない。」「この着物は価値がある。」「とても上品で誇らしい!」最後は松田たか子を擁護するファンの意見で締めくくられたようだ。
このアカデミー賞がWOWOWプライムでしか見られなかったからまだ反響は小さかった方だろう。
これが民法で流されていたなら更なる炎上は間違いなかっただろう。
しかし海外での感想はもっとシンプルで称賛の嵐だったのである。
「タカコ・マツは美しい。着物最高!」「あでやかな着物姿はレッドカーペットでひときわファンの目を引いた。」日本の着物は外国人にとっても憧れの衣装であり、立ち居振る舞いを心得た松たか子だからなおさら美しく感じたに違いない。
レッドカーペットは大成功。奥ゆかしい日本人女性の控えめな美を世界に知らしめたのであった。
さて、本番の熱唱披露についてはどうだったろうか。
「アナ雪2」熱唱
何人もいるエルサ役が一堂に会して歌い上げる「イントゥ・ジ・アンノウン」は圧巻だった。
しかしさすがはアカデミー賞の舞台だけあって、耳の肥えた観客は大勢いた。彼らのコメントはこうだ。
「タカコ・マツがイディナ・メンゼルに続く最初のエルサ。最高だ!」
「ヤバすぎる!そのひとりがタカコ・マツだ。この歌声は凄い。とても感銘的だ。」
「伝統のパフォーマンスの夜に、なんという歌声なの。世界最高の歌声の持ち主!」確かに際立って松たか子の歌声が染みわたった気がした。
圧倒的な誉め言葉の嵐。世界中に松たか子を知らしめた夜となった。アメリカはロサンゼルスのドルビーシアターで歴史的な一幕となったのは日本人として誇らしい限りだ。
出来ることならアカデミー賞授賞式は、WOWOWプライムのような有料チャンネルじゃなく、民放で放送し広く国民に知らしめるべきかと感じる次第である。
あでやかな着物に身を包み、レッドカーペットを歩く松たか子を、海外の反応以上に日本国内で迎えてあげたかったから。
ディズニーファンならずともミュージカルフリークでなくても、松たか子の透き通る歌声は見る者の心を揺らしただろう。有難う、松たか子。
エピローグ
代々歌舞伎界を背負う血統でありながら、海外に通じるミュージカル歌手として羽ばたいた松たか子。
映画やドラマでは国内でも相当な評価を得ていたのだが、絶好のチャンスであるアカデミー賞出演を無駄にはしなかったのが嬉しい。
レッドカーペットで着物を纏う松たか子も海外の反応は満点といえるし、本番の歌唱力披露でも観客の心を震わせた。
日本アカデミー賞は民放で流すくせに、本家のアカデミー賞はWOWOWの有料放送なんてけち臭い事しなさんなといいたい。
ワールドワイドな文化を認知させたいなら広く国民が視聴できる民放を是非ご検討願いたい、と関係者には切に懇願するのであります、ハイ。