2014年に公開された映画「紙の月」は実話がもとになってるといわれているが、このストーリーは宮沢りえ主演だからこそ価値がある映画だ。
一体どういうことかというと、実話の主人公と宮沢りえがあるところでオーバーラップするのだ。
もうちょっとわかりやすく言うと、女の悲哀そして葛藤の表現が苦労人宮沢りえじゃなきゃ出し得ないものだということだ。
詳しい内容解説は本文をお読みいただくとして、2020年のユニクロ記者発表会に宮沢りえが参加したおり、彼女の髪型及びいでたちが美しいと反響がすごかったようだ。
落ち着きはらったミセスの顔をみせる昨今の宮沢りえは、どこか達観したかのような貫録さえ感じる。
今にして思えば、そのころには夫の森田剛の行く末(V6解散とジャニーズ退所)について、宮沢りえの決意がある程度固まっていたのではないかとさえ思うのである。
本稿では、実話映画「紙の月」の主人公とリンクする宮沢りえの生い立ちと、森田剛との夫婦の絆について振り返ってみたいと思う。
実話?に基づく映画の主人公
映画「紙の月」は多額の横領をはたらいた女の物語である。
夫のある身である銀行員の女性なのだが、愛情の薄い夫とはすれ違い生活の日々。ある日、若き大学生とひょうんなことから交際が始まり深い関係になってゆく。この青年は大学費用に困っていたが、お金持ちの祖父は援助をしないという。
この祖父が宮沢りえの銀行に預けた預金を、大学生の為に横領してしまうのだった。
最初は少量の額だったのにどんどん横領額はエスカレートしてゆき、ドロドロの隠ぺい工作も空しく逮捕される。大体そんなストーリーだ。
原作者は決して実話が基になっているとはいっていない。しかし、過去に起きた3つの大きな横領事件がヒントになっていることは確かだ。
その事件とはどんなだろうか。
一つ目は滋賀銀行横領事件。
これは、金にだらしないタクシー運転手を好きになった銀行員の女が、ギャンブル援助のために自分の貯金、そして家族の貯金を貢いでしまう。
それでも足りずに顧客の定期預金100万円を横領してしまう。そうした男の要求額はどんどんエスカレートし、とうとう8億9千万円という巨額にのぼり二人とも指名手配の上逮捕されてしまった。
タクシー運転手は銀行員より10歳若い25歳。若さの魅力はわかるが、ダメ男には独特の魅力があるようだ。
二つ目は足利銀行2億円詐欺。国際秘密警察員と名乗る男は国家の為に働いていると嘘をつく。
そんなドラマじみた職業の人が身近にいるわけないのだが、なぜか憧れて好きになっちゃったらしい。
結婚を餌にし、さらに国家秘密警察員を辞めるにはお金がいると馬鹿でもわかりそうな嘘に女は騙されたのだった。女の年は23歳。男にとってはいい金づるだった。
女が銀行から横領した金は、この嘘男がクラブ経営や遊びに使っていたようだ。
やがて横領がバレて女は逮捕。嘘男は愛人と駆け落ちした先で捕まった。銀行員の女はそうなるまで嘘男にだまされたことすら知らなかったようだ。
三つ目は三和銀行オンライン詐欺。
不倫癖のある銀行員の女が妻子ある旅行代理店経営の男に魅かれてしまう。
この男が悪い奴で、経営が傾いたために銀行員の女を利用して横領を持ちかける。最初は断ったもの、男に捨てられたくないがために犯罪に手を染めるのであった。金づるにされてるとわかっていながら…。
横領額は1億8,000万円。男は国内、自分はマニラに高跳びしたが捕まってしまう。
逮捕後「好きな人のためにやりました。」と供述している。
さて、この3件の事件はいずれも「紙の月」と同じく、男に惚れたがために犯罪を犯し墜落してゆく悲哀の女が主人公だ。あまりに大胆、そしてあまりにも哀れな末路。ダメ男なのに惚れてしまうどうしようもないサガ。
映画の主人公を演じた宮沢りえもまた、かつてダメな男に惚れた悲しい過去を持つ。
それが映画の中の役柄とリンクして、妙なリアリティーと女の悲しみが圧倒的演技で表現されている。そして何より宮沢りえが美しい。
美しいといえば、ユニクロの記者発表会において宮沢りえが魅せた髪型といでたち。これは本当に美しかった。なにがどうって?以下の画像と説明を参照願おう。
ユニクロ発表会にて
2020年、宮沢りえが47歳のとき、銀座ユニクロtokyoで、ドイツ生まれのファッションデザイナー、ジル・サンダーが監修する「+」2020秋冬コレクション記者発表会のゲストとして招かれた。
そのいでたちは、濃紺のロングコートで襟は黒というツートーンカラー。インナーも黒でまとめたシックで上品な合わせだった。
髪型はマッシュルームショートで、前髪は眉を隠す長さにそろえてある。そうした装いは美しいミセスの輝きを放っていてため息さえ出てしまう。
まさに自立した大人女性を感じさせ、どこか達観しているような落ち着きまで見せている。
宮沢りえの落ち着き払った物腰は一朝一夕に培ったものではない。長い芸能生活のなかで波乱に満ちた経験を重ねたからこそできた達観だろう。
宮沢りえは過去、力士の貴乃花と婚約までしながら突然の破局となった。当時、その訳はいろいろ報道されたが今になって振り返ると貴乃花のダメぶりが原因なのだとはっきりわかる。
宮沢りえの当時の様子は憔悴しきりだった。悲しみと絶望の淵から立ち直るのに苦労したと察する。
そして宮沢りえの母親がこれまた毒親で、平気でビートたけしに抱かれてこいといったりその悪態には枚挙にいとまがない。外にもうちにも信じられる人がいなかった宮沢りえに一筋の希望が見えた。それが森田剛だった。
映画「紙の月」の実話内容と、宮沢りえ自身がリンクするのはダメ男に惚れたことと悲惨な環境にさらされたことだ。しかし、映画と違うのは森田剛という優しい夫に恵まれてハッピーエンドをむかえたことだろう。
達観したりえの心中
ユニクロのゲストで現れた宮沢りえのいでたちや髪型ばかりがクローズアップされがちだが、あの落ち着き払った物腰は、今思えば森田剛の再出発を夫婦で合意したあとの心境のあらわれだったのではないか?
2021年3月、突然のV6解散発表。そしてメンバーのなかただ一人、ジャニーズ退所を決めた森田剛。
決心の裏には妻宮沢りえが関わっていたといわれている。
V6は所詮アイドルグループだ。40代になった森田剛はこのさき50,60になってもジャニーズにいられるわけじゃない。アイドル路線がもろくはかないものだと一番わかっているのは、かつてのアイドル宮沢りえ本人だろう。
夫の背中を押す役目を果たしたのは言うまでもない。苦労をなめ、絶望の淵に立ち、それを救ってくれた最愛の夫森田剛に今こそ恩返しをする番だと決心したのだと思う。
実話映画「紙の月」の主人公は悪事を決心するが、宮沢りえは愛情返しを決心した。麗しい夫婦愛万歳!
エピローグ
実話である滋賀銀行と足利銀行の横領事件、これらはいずれも年下の魅力?ある男性に女が悪事に手を染め貢いだのに対し、森田剛も宮沢りえより6歳年下でありこの辺だけは共通しているようだが、このスターカップルは善良である。それゆえ最終的に幸せを手にできた。悪銭身につかず、その通りである。
映画「紙の月」の主人公も大学生男子相手の主婦のストーリーだから、やはりこの3大横領事件の実話が参考になっているように思う。さらに女主人公は実話の事件でもそうだが、盲目的に男にのめりこんでゆくのである。
ラヴ・イズ・ブラインド(恋は盲目)。ジャニス・イアンが歌ったあの曲が妙に物悲しい。
では現実の宮沢りえはというと、数々の辛苦を乗り越え今まさに夫と新しい船出をすべく固い決意をして凛と構える姿は誇らしくも思える。
V6を卒業してジャニーズを退所、俳優専業の道を目指す夫森田剛をしっかり支える妻宮沢りえは、ユニクロ発表会で魅せたシックでさわやかな髪型といでたちでわかるように、主婦の理想形を堂々とアピールする存在になった。
ファンは宮沢りえ、森田剛夫婦を温かく見守るに違いない。この二人こそ、ジャニーズ卒業の理想となるファミリーだと確信するからだ。