2019年11月24日。年の瀬も近く、人恋しい晩秋の時期にイモトアヤコと石崎史郎は結婚した。
皆さんご存じの通り「世界の果てまでイッテQ」は日曜の夜8時に放送の人気番組だよね。
ここで珍獣ハンターオーディションを行い、ライバル芸人を押しのけてイモトアヤコが大抜擢となったことは、ついこのあいだのことのように新鮮に感じるのは筆者だけじゃないと思う。
このとき審査員を務めたのが石崎史郎だというのだから運命ってのは面白いもんだね。
さてこの二人、このあとどういったいきさつで結婚に辿り着いたのか、その経緯と背景にあった感情のうつろいを考えると大変奥深い人間模様が見えてくる。
結婚の決め方はかくあるべしと、思わず絶賛したくなる感動のドキュメンタリーをつまびらかにしたい。
かくなる上は、どうか最後までご一読されたし。令和の結婚バイブルといえるかもよ。
感情の移り変わり
イモトアヤコと石崎史郎は最初仲が悪かったらしい。
原因はイモトのイッテQ初仕事であるコモドドラゴンとの絡みだった。
イモトが腰にロープを巻き付け、その先端には食肉が取り付けられていた。コモドドラゴンがその肉を目当てに、追いかけてくるのをイモトが猛ダッシュで振り切る絵面が、ディレクターである石崎史郎は欲しかったようだ。
石崎にしてみれば、食肉とコモドドラゴンとのスタート時の距離は、本当にぎりぎりまで詰めたかったに違いない。
しかし、いかにかつてイモトがその名をとどろかせたスプリンターであっても(陸上の短距離選手として入賞経験あり)、コモドドラゴンは最速で時速20Kmといわれ、オリンピック選手出ない限り、走り出しの初速は人間の方が遅いのだ。
現地住民のなかには、コモドドラゴンに食われてしまった人もいるらしい。
そんな予備情報が飛び交う中、イモト自身が冷静でいられるはずはなく、石崎史郎ディレクターが食肉とドラゴンとの間合いをはかっている最中に、イモトアヤコは恐怖のあまりフライイングで飛び出してしまったのだ。
そりゃそうだ!筆者もこのときテレビを見ていて思ったね。この企画自体、クレイジーだとね。
だってそうでしょう?もしもイモトが転んだりした場合、体をかみちぎられる危険だってあるんだからね。
爆笑バラエティー番組の目玉にしたい石崎史郎の意気込みはわからないでもないが、明らかにやり過ぎだ。
そうして、結果石崎が狙っていたようなスリルあふれる緊迫感にはいたらず、フライイングしたイモトアヤコに激怒したのだ。これを機に、二人の関係は険悪なものになってしまったようなのである。
この二人の関係がぎくしゃくしたまま「珍獣ハンターイモト」のコーナーは続けられたのだが、珍獣ハンターのタイトルにこだわり続けたことで、ジャングルの猛獣や珍獣に接近したり、昆虫を食べたりする企画も次第にマンネリ化して緊迫感に欠け、飽きられかけていた矢先のことだ。
「イッテQ登山部」の企画が発足し、危険と隣り合わせの体を張ったイモトの登頂アタックが見事に当たった。
この企画では、同行した番組ディレクターの石崎史郎も登山に挑戦した。2009年6月、キリマンジャロへの挑戦で、さだめられたポイントに到達できた石崎が号泣する場面があったのだが、それをみて石崎に対するイモトの感情がどうやら好転したようなのだ。
タレントに指示を出し、自らは監修に徹すると思われがちなディレクターの仕事だが、案外そうではないようだ。少なくとも、この時の石崎史郎は自ら登山を経験し、危険を克服して成功をおさめ達成感をわがものとしたことで感極まったに違いない。
「イッテQ」の特性上、ディレクターでさえお笑いのネタにされ、石崎史郎のイメージはヘタレの怠け者的なイメージで落ち着きそうな雰囲気がテレビを見る我々には定着していたのだが、やるときはやる!そしてとことん感動する!そんな彼の本質が登山であらわになり、イモトの心に変化があらわれたのだろう。
マッキンリーでキス?
キリマンジャロの登頂では、二人の関係改善に終始したに違いない。石崎史郎に対するイモトアヤコの印象は好転したには違いないが、恋愛には程遠いものだったようだ。
そうして7年が経った2016年7月。マッキンリーに挑戦し、イッテQ登山部一行は揃って登頂に成功した。
危険と隣り合わせのロケで、スタッフがそろって目標をクリアできたことは、この上ない喜びであり、達成感であったに違いない。ここで高揚感もマックスになったイモトは、感謝を込めてカメラマンの中島氏の頬にキスをした。
ここで石崎史郎が一言「俺も登ったんだけどな」。イモトはあろうことか、すかさず石崎の唇にキスしたのだ!
さあ、皆さんならこの行為をどうとらえるだろうか?
先にイモトがカメラマンのほっぺにキス。そのあと、ディレクター石崎がさりげなく俺にもキスしろと、催促したのだ。バラエティーの流れがわかってきたこの頃のイモトは、同じように石崎にもほっぺキスじゃあ面白くもなんともない。
おそらく咄嗟のアドリブで、くちびるへのキスを考えウケ狙いで行動に移したはずだ。
そう。あくまで演出だったはずが、くちびるを合わせた結果、何か今までと違う胸キュンな感覚が二人の間に生まれたに違いない。この事件が二人の結婚に向けての第二ステップだったのだ。
南極で確信した!
唇キス事件から1年半、イモトアヤコの石崎史郎に対する想いは急速に確信へと変わってゆくこととなる。
2018年2月。今回も過酷なアタックが敢行された。
登山するターゲットは、南極ヴィンソン・マシフ。南極最高峰の4,892mのつわものだ。
結果としては大成功!見事登頂を成功させたのだ!
しかし、この時ディレクターの石崎史郎は途中で高山病にかかり、あえなく登頂を断念している。
イモトと石崎が揃って登頂に成功していれば、めでたしめでたしだが、お互い結婚に結びつくようなエピソードにはならなかったはずだ。
石崎リタイアを受け、その後イモトは心の支えを失う。長年にわたり登山の苦楽を共にしてきた戦友を、途中で残して一人闘うこととなったイモトの心中いかばかりか。
不安と孤独感が一気に襲いかかってきた。しかし、最も大事で肝心な意識の変化はほかにあったのだ!
石崎史郎が心の支えであることに気付いた。それは生涯のパートナーとして、おそらくこれからも同じ気持ちであることに違いないと確信を持った。それがヴィンソン・マシフのアタックの時だったのであった。
おもえば2009年のキリマンジャロから2018年の南極登山まで、9年の歳月が流れていた。これはあくまで交際期間ではなく、好印象から結婚の決意を抱くまでの期間だ.永いといえば長い。でもこの間のふたりの経緯は確実で堅実だ。
手紙でプロポーズ?
南極の苦境の中で、相手への好意に自ら気付いたのはイモトの方だった。
積極的行動が得意のイモトアヤコらしいアクションは、南極から帰国後の焼き肉屋デートへの誘いに始まる。
そこで用意してきた手紙を石崎本人の前で読み上げた。
「私は石崎さんのことが好きです。結婚したいと思ってます。」
8歳年下の女性からこんな手紙をプレゼントされたら男冥利に尽きるね。結果は当然即OKなのだ。視聴者の皆さんもほとんどが感動させられたと思う。そしてこの二人がベストカップルだと誰しもが祝福するほどお似合いだ。
今回のケースは、イモト自身がじっくり慎重派。しかし、きめたら動きが速いのも事実だ。
対する石崎史郎はおっとり派。スローペースでときどきヘタレだが優しくてで愛情深い。
イモトが決断するまで9年かけて待ってたなんてすごすぎるね!でもそれが出来ちゃう夫だからイモトとは馬が合うのだろうね。
今回のような時間がかかり過ぎの結婚は決してお勧めではないけれど、早くて失敗するよりは断然いいのだ。
きっとこれからも幸せなカップルのまま歳をとること間違いなしだ。
エピローグ
イモトアヤコと石崎史郎の結婚は、確かに狭い世間の選択なのかもしれない。
しかし、それは他の業種でも同じじゃないかな。職場結婚とひとくくりにするつもりはないけれど、出会いの場は限られているし、相手を知り己を知って相性を探るには、それなりの時間も必要だ。
そうなれば毎日顔を合わせて、いいことばっかりじゃない日常の出来事から結婚の是非を探ってゆくことは確実で間違いない選択が出来ることに繋がるだろう。
筆者はこのパターンが最高といってるわけじゃないよ。
お見合い結婚だって素晴らしいし、いい要素もたくさんあります。
ただ、今回のイモトアヤコと石崎史郎のパターンは、人気バラエティー番組でメジャーなカップルということも在り、ついつい応援したくなっちゃうケースかもしれない。
仮に人気芸能人じゃなくても、こうした長期間の心情の移ろいは、一般人でも十分有り得るケースなので読者諸氏にはお心に留め置かれるよう切に願うのである。