黒木瞳は宝塚入団成績トップ逃しても相手役と共に掴んだ頂点

黒木瞳の宝塚時代は波乱に満ちていたものの実に劇的で充実したものだった。

トップ入団ではなかったものの、黒木瞳が宿命的出逢いを果たした相手役と苦楽を分かち合い、「伝説の名コンビ」とまで讃えられるようになったことはまるで物語の世界のようだ。

ある意味閉鎖された宝塚という宮殿のなかで、黒木瞳と相手役がどのようにして王宮の玉座を手に入れることができたのか、その軌跡とその後の黒木の人生について振り返ってみた。

宝ジェンヌの頂点から女優に転身し今に至るまでの「人間黒木瞳の生き様」について考察してみよう。トップスターの人生とはいかなるものか?貴重な一例として記録したい。

それでは続きをご覧あれ。

宝塚への道

黒木瞳は福岡県八女市で誕生し、厳格な父親の教育のもと剣道を中学生まで習っていた。

恐らくこの経験が精神力を強靭にすることができ、宝塚時代の試練の数々を克服する底力となったようだ。

高校を卒業後は熊本の音楽大学に入学が決まっていたのだが、順風満帆で平凡な人生を歩むうつわではなかったのだろう。同じ音楽の道を進むのなら一か八か華ある宝塚に挑戦したいと思いついたようだ。そう、突然の思いつきで進む道を変えたのだ。

その証拠に、両親には内緒で宝塚音楽学校を受験すべく、受験料は友人に借り受験準備は一週間前にバレエ学校に通っただけの焼き付け刃だったのだ。

しかし結果は見事合格。黒木瞳は持って生まれた音楽的素質が開花したことはもちろんだが、そこそこ野心家でもあったのだ。そして失うものがない若さという武器が宝塚の扉をこじ開けたのである。

メルカリ - 宝塚おとめ1983 大地真央 黒木瞳 涼風真世他 全生徒 ...
宝塚音楽学校時代の黒木瞳
出典:mercari.com

その後1981年宝塚歌劇団入団。この時の成績は入団39人中3位であった。上位ではあるもののトップ入団ではないことが重要で、その後の黒木の負けじ魂に火をつける。

この年の新人公演初舞台「白鳥の道を超えて」のミランダ役を演じた黒木瞳を見て、当時月組トップの榛名由梨は是非月組に欲しいと懇願したほどだ。榛名由梨に続く月組二番手が、このあと黒木と運命を共にする相手役の大地真央であった。

大地真央との二人三脚

1982年、時代は大地真央をトップに押し上げた。小顔で細身の男役の大地はバイタリティーと演技力で他の追随を許さない伝説的タカラジェンヌとして君臨したのである。

その大地真央が相手役として指名したのが黒木瞳。当然、黒木も娘役のトップに躍り出るのだった。

しかし、大地との共演当初はがちがちの緊張に支配され、声が裏返り失笑を買う始末。しかも、相手は誰もが羨望の眼差しで仰ぐ大地真央だ。嫉妬、やっかみが黒木に集中することは想像に難くなかった。ある日、ファンと名乗る女性から砂が入ったサンドイッチを受け取る黒木瞳。プレッシャーに耐え切れず涙を流すのであった。

そんな黒木に対し「いっぱい泣きなさい。泣き止んだらそのハンカチは捨てなさい。」とやさしくハンカチを差し出す大地に黒木は身も心も全て大地真央に預けて行ったのである。

人前では敢えて大声で黒木を叱る大地だが、仕事のあとは二人で毎日食事に出かける仲の良さであったという。

「宝塚至上、歴代最高の名コンビ」と謳われた黒木瞳は、入団時の成績より在籍中の実績がはるかに上回る結果を残したのだった。

大地真央との蜜月

黒木瞳にとって大地真央は永遠の先輩でありお姉さんである。そして恋人であったともいえよう。

大地真央は言う。「愛し合っていました。私はこの人が相手役として最高と思っていました。」

朝日新聞デジタル:「夢の祭典」で共演した大地真央さん(右)と黒木瞳 ...
絶頂期の二人
出典:asahi.com

大地真央と黒木瞳のトップ君臨は、黒木が入団直後に大地真央とコンビを組んで5年間ずっと走り続けた。そして大地が退団を決意した時、真っ先に告白したのも黒木瞳だった。

黒木は言う。「大地真央以外の相手とは共演することなど考えられない。」

この結果、黒木瞳も大地真央と同時に退団を決意するのであった。なんというコンビ愛か。

大地も言った。「もし黒木が残れば、妻を奪われた心境にさいなまれていただろう。」

宝塚の世界は女だけの世界。ここで培われた愛情物語は常人には理解しがたい面もあるが、共に去る選択は潔さと感動を呼びファンの涙を誘うのであった。

彼女らが残した成績や実績は大変なものだが、二人にとっては苦楽を共にした経験と絆のほうが人生の財産であったろう。

退団後、卒業旅行に出かける二人の姿があった。

二人の再会

宝塚退団後、黒木瞳と大地真央は女優の道を歩んできたが共演は一度もしていなかった。

しかし2016年、黒木が55歳、大地が60歳のときトーク番組で初共演を果たした。

宝塚を去ってからおよそ20年ぶりの再会である。

「もう一度大地さんの男役が見たい!もちろん、相手役は自分でお願いしたい」と黒木がアピール。これに対し「もう男役はできないが他の機会があれば…」と嬉しそうに応えた。

日本【宝塚時代の思い出】大地真央 Mao Daichi 黒木瞳 Hitomi Kuroki ...
名コンビの再会
出典:youtube.com

在団中、大地真央が黒木瞳に対し「人が10年かかってすることをあなたは今できなければいけない。」

厳しく要求してきた結果、二人の共演作品全て満足していると話す大地真央。

今ではお互い女優の仕事にいそしむ二人だが、黒木瞳も演技力に磨きがかかり、かつての娘役イメージから脱却した多くの活躍をしてきている。

ドラマや映画で再びこの二人が記念碑的な共演を果たす日も遠くないだろう。

その時、情熱と感動のエナジーが見る者の心に何を与えてくれるのかとても楽しみだ。

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フィナーレ

黒木瞳の宝塚歌劇団での相手役は大地真央。この二人は生涯固い絆で結ばれた永遠のパートナーだ。

退団後、それぞれ結婚し家庭を持ったが女優の道は捨てずに今日までやってきた。

今では伝説となった「歴代最高の名コンビ」も芸能界で再会する機会を逃し、20年の歳月が過ぎ去った。

そして再びトーク番組で再会できた二人は感慨ひとしおだった。黒木の共演リクエストに可能性を匂わす大地は満足げな表情をみせた。

数々のプレッシャーを乗り越え掴んだ宝塚の玉座を退き、再び再会した名コンビの心のなかには残してきた実績や伝説よりも大切な財産をお互いに再確認したのだと思う。

やがてやって来る女優としての共演に備えて、心の充電期に再会したことはとても幸いな事件だったといえよう。

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